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おもてなしとインテリア

こんにちは

インテリアコーディネーターの鈴木です

仕事柄出張先では、一度訪れてみたい宿に泊まってみる事も多いのですが、先月の函館で若い頃憧れていた老舗旅館を訪れてみました。

古くは漁師さんの網元の別荘だったというその建物は庭を囲むようにコの字型に建てられています。

全ての部屋から季節毎の庭を楽しんで貰えるようにと、京都の庭職人を招いて造られたそうです。

お部屋に通されて一服お茶を頂きながら、この素敵なおもてなしの窓に出逢って旅の疲れが吹き飛びました。

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大人も子供ものんびり自由に寛いで頂きたいとの事で館内全てが畳敷きでした。

お部屋に用意された足袋を履いて早速歩いてみました。

ロビー正面の畳には、季節毎の刺繍が施されています。

館内にある、掛け軸や額、置物などのインテリアはどれも味わい深いもので宿の歴史を感じさせてくれるものばかりでした。

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ふと、ロビーの横壁に掛けられた額の数々が目に留まりました。

歴代の総理大臣はじめ政財界の方々が訪れられた際、宿へのメッセージを刻まれた色紙を額装されたものでした。

流行のものやサプライズや仕掛けはありません。

逆にそれが心地良くもあるのですが、朝風呂の後ロビーのソファで庭を眺めながら思いました。

この宿が心地良いと感じるのは、あくまでも人(顧客様)が主役、だからなのだろうと。

《顧客様に寛いで頂く為に》が研究し尽くされ、静かなさりげないおもてなしとなっている様に感じました。

お客様商売ですから当たり前の事ではあるのですが、従業員の作業負担を軽減する為に、驚くほど軽い座卓や食器を使う宿も時代の流れであります。

変わらないもの、繋いでいくものを大切にする宿と出逢ってインテリアコーディネーターという仕事を改めて振り返りました。

顧客様が望む景色を想う事、どんなシーンで寛ぎを感じて頂けるか。。
お一人お一人の顧客様に寄り添いながら、五感を澄ませて感じ取る努力をして行こうと改めて思わせてくれた旅でした。